第23回KURA研究会:学術出版と日本研究の課題を開催しました(2017年10月30日) 活動報告

Date : 2017.11.29

京都大学学術研究支援室(KURA)は2017年10月30日(月)、「第23回KURA研究会:学術出版と日本研究の課題」を開催しました。この研究会は、グローバル化時代における学術出版の課題という切り口から人文社会科学分野の研究成果の可視化を考えるため、KURAの「人文・社会科学系研究支援プログラム」メンバーが企画したもの。日本研究者や学術出版関係者のほか、人社系研究の成果発信に携わる研究者や支援スタッフなど、学外5機関からの6人を含む20人が参加しました。

研究会の前半はKURAの趣旨説明に続いて、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)の Griseldis Kirsch 准教授が講演。Kirsch准教授の専門は日本研究で、SOASの日本研究学術誌で編集委員を務めた経験があります。今回は地域研究研究者としての立場から、「外から他者(=日本)を研究すること」と「学術出版・成果発信に用いる言語」との関係、また英国の研究評価システムであるREFが学術出版に与える影響など、いずれも日本での研究状況と重なる部分がある話題が取り上げられました。

活発な議論が展開された会場の様子 Kirsch 准教授(中央)

                            

ドイツ出身の Kirsch 准教授は博士課程までドイツの学術論文スタイルでトレーニングを受けており、英国に渡った後は英語での出版が中心となってスタイルの違いにかなり戸惑ったことなど、日々の葛藤のエピソードを交えたお話が印象的でした。

後半は、東南アジア地域研究研究所教授の貴志俊彦がモデレーター役、またDr. Jennifer Coates・白眉センター助教がコメンテーターとなり参加者との議論が行われました。冒頭、貴志教授からは、研究成果を発信する言語、媒体は、研究者が誰の評価を重視するのかに関わること、海外の日本研究者と、日本の日本研究者との連携の可能性などについて問題提起がありました。

 


モデレーター役の貴志俊彦教授

 

国際共同研究に関しては、「発信言語ごとに学術コミュニティが形成される傾向がある」という Kirsch 准教授の指摘や、「様々な言語・学問領域をまたがる交流をしつつも、最終的な学術出版としてのアウトプットに関しては、やはり言語・学問領域の壁はまだ高い」とする Coates 助教のコメントがありました。

 

 
Coates助教(右)           

        

これに対し参加者からは、言語・学術文化背景の異なる研究者が共同で研究を進める際に求められる条件について様々な意見が出されました。さらに議論の基盤となる概念や資料・データベースの共有、研究者情報の公開、またそうした共同作業の基盤となる研究者同士の信頼関係の構築等々について、活発に議論しました。

今回の研究会は、KURA「人文・社会科学系研究支援プログラム」の佐々木URAと大澤URAが企画、講師、コメンテーターとの調整を行いました。またモデレーターへの依頼・事前打合せ、当日の運営に関し、プログラムメンバーで協力しました。

KURAでは、こうした研究会を重ねつつ、京都大学の強みである人文・社会科学系研究の「質」の可視化に取り組んでいきます。

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