京都大学 学術研究展開センター Kyoto University Research Administration

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第20回KURA研究会「科学技術外交の取り組みについて」を開催しました

02.13 (Mon)2017

京都大学学術研究支援室(KURA)は1月20日(金)、外務省の科学技術専門員・岸田絵里子氏を講師に招き、第20回KURA研究会を開催しました。岸田氏はこれまで、科学技術振興機構(JST)国際科学技術部で主に二国間協力や、e-ASIA共同研究プログラム事務局を担当。外務省の軍縮不拡散・科学部国際科学協力室に出向中の現在は、外務省参与(外務大臣科学技術顧問)の岸輝雄氏をサポートされています。

今回の研究会のテーマは「科学技術外交の取り組みについて」。外務大臣科学技術顧問は2015年、外交政策の立案と実施において専門家の科学的知見を活用するため、外務相に対する科学技術顧問の試行的設置として設けられました。日本政府初となる科学技術顧問に期待される役割は、経済と産業の発展に伴う環境やエネルギー問題解決に向けた国際協力が重要視される中、これまでになく大きくなっているとのことです。

岸田氏からは、科学技術を通じた日本の外交方針や各国の科学技術外交の状況について説明があったほか、外交の最前線における経験や今後の課題についてお話がありました。特に、外務省が進める科学技術外交政策の一環である「二国間科学技術協力協定」について詳しい事例解説があったほか、英米の科学技術顧問と外交政策における科学技術の役割について議論した経験を踏まえた、国際的なネットワーク強化の重要性を強調。「国連が定めた新たな目標『持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGs)』実施へ向け、日本が今後、科学イノベーションをどう進めるかが、外交上でも重要になると感じています。こういった状況を念頭に置いて、日本の科学技術外交が発展するよう科学技術顧問をサポートしていきたいと考えています」締めくくられました。

参加者からは「科学技術は日本が世界に誇る貴重な外交資源だが、その一方で、科学技術を軸とした外交は日本の技術流失にもなりかねず、その点において外務省の指針はどうなっているのか」といった質問や、「科学技術外交においても、人文社会系の研究や視点も大切ではないか」などの意見が出るなど、日本らしい科学技術外交のあり方と将来の方向性について考えさせられる研究会となりました。

講演をする岸田氏 研究会の様子

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