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活動報告

第4回人文・社会科学系研究推進フォーラムを開催しました(2018年3月16日)

03.23 (Fri)2018

京都大学学術研究支援室(KURA)は2018年3月16日(金)、「第4回人文・社会科学系研究推進フォーラム(人社系フォーラム)」を開催しました。

人社系フォーラムは、2014年の大阪大学主催「第1回人文・社会科学系研究推進フォーラム:人文・社会科学系研究推進に必要な共通基盤整備を考えよう」の企画・運営に携わった複数大学のURAによる合同運営チームを母体とし、人社系の研究に関わる研究者やURA、事務系職員等が、より良い研究推進のあり方を、共に議論し行動することを目指して発足しました。

第2回大会は2016年に筑波大学主催で「研究資金、分野融合や国際展開による学術の発展」をテーマに、第3回大会は2017年に琉球大学主催で「地域社会が抱える社会課題の解決や新たな価値創造」をテーマに開催されました。  

現在は、筑波、京都、大阪、早稲田、琉球各大学で人社系研究支援を担当するURA有志ネットワークが、年次大会と年3回の情報交換会開催の企画・運営にあたっています。

第4回となる今回は、KURAの人社系グループが「人文・社会科学研究の未来像を描く─研究の発展につながる評価とは─」をテーマに企画し、本学国際科学イノベーション棟で開催されました。  

会では山極壽一総長の挨拶の後、KURAのURAが趣旨を説明。その後の「人文・社会科学系研究評価の現在進行形」と題した前半では、基調講演として3人の研究者にご登壇いただきました。  

 

初めに三成美保教授(日本学術会議/奈良女子大学)が「人文・社会科学研究評価の課題と展望─日本学術会議の成果をふまえて─」をテーマに講演。ご自身が取りまとめられ、昨年発表された「学術の総合的発展をめざして―人文・社会科学からの提言―」を軸に、過去約20年にわたる議論も踏まえつつ、評価をめぐる現在の課題と展望についてお話いただきました。また‘科学技術(人文科学のみに係るものを除く)’と宣した現行の科学技術基本法に代わる、人文・社会研究を加えた「学術基本法(仮称)」の制定に向けた様々な働きかけ、さらに評価は“査定”ではなく“支援(とくに若手支援)”であるべきとの観点に立つ新たな施策案が紹介されました。  


三成美保教授(日本学術会議/奈良女子大学)

 

続いての登壇者、林隆之教授(独立行政法人大学改革支援・学位授与機構)は「人文学・社会科学における研究評価の課題~大学評価の現場における現在進行形」と題して講演されました。第2期中期目標・計画の達成状況評価(H28-29)の詳細な分析データをもとに、大学教育・研究機関評価の専門家の視点から、人社系研究評価のテクニカルな側面について、海外の研究評価の動向も踏まえつつお話いただきました。

また、人社系研究の生産性や社会的インパクトを定量化することの難しさと、それを超えていく質的評価の方法(ピアレビュー等)の在り方についての、今後の方向性が示されました。  


林隆之教授(独立行政法人大学改革支援・学位授与機構)

 

前半の最後には、苅谷剛彦教授(オックスフォード大学)が「誰のための、何のための研究評価か:イギリスから見た諸問題」と題して講演。国家主導的色合いの強い日本の大学制度が孕む構造的な問題を、研究評価をめぐる議論と絡めて浮き彫りにしつつ、その歴史的起源にまで遡ってお話しいただきました。また、日本で多数を占める私立大学が評価の議論の枠外にあること、市場主義に沿った大学改革が実際には質の向上を伴っていないことなどを、軽妙な語りで次々と指摘されました。最後に「誰が得をしているのか」「評価は誰のために行うのか」という極めて本質的な問いがフロアに投げかけられました。


苅谷剛彦教授(オックスフォード大学)

 

「研究の発展につながる評価とは─人文・社会科学系研究の未来形─」と題した後半は、出口康夫教授(本学文学研究科)の司会進行によるディスカッションへと場面を移しました。まず田中愛治教授(早稲田大学)と藤原辰史准教授(本学人文科学研究所)からの基調講演に対する評を含むコメントがあり、その後、講演者3人を加えて議論が始まりました。

ここでは苅谷教授が基調講演で提起した「国立/私立大学間の評価のロジックの違い」を始め、「地方大学の現状」「研究と教育とのバランス」「評価カテゴリーの複層性」「人文学と社会科学を区別すべきか否か」「図書出版との関係の在り方」等、多岐にわたる話題が俎上に載り、フロアからの質問や発言も受けつつ白熱した議論が交わされました。また最後には、各登壇者からURAに対する期待や要望が述べられました。  

フロアから質問する山極総長

 

この他、会場前では各大学・機関の人社系研究支援事例を紹介するポスター9件が展示され、また人間文化研究機構による質的情報可視化の取り組みを紹介するミニ講演会も開催されました。  

本会には学内外からの研究者や職員、URA、マスコミ関係者等計141人が参加しました。特にURAは北海道・沖縄を含む全国各地から55人が参加し、本会のテーマに対する関心の高さが示されました。 

KURAでは今後も、人文・社会科学系研究推進の支援に力を注ぐ方針です。今回のフォーラムはKURA人社系グループの神谷俊郎URA・稲石奈津子URA・森下明子URA・佐々木結URAが企画しました。フォーラムの内容は今後、報告書冊子としてまとめる予定です。

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