京都大学 学術研究展開センター Kyoto University Research Administration

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日本学術会議研究評価分科会にて報告を行いました(2019年12月20日)

01.02 (Thu)2020

2019年12月20日に開催された日本学術会議研究評価分科会において、 KURAの人文・社会科学系研究支援プログラムのメンバーが報告を行いました。この日の分科会では、海外の研究評価の動向紹介が主眼となっており、ゲスト報告としてまず、標葉隆馬 成城大学文芸学部准教授よ り、国内外の研究評価動向に関する包括的な報告がありました。続き、佐々木結URAが、数値指標を用いた評価をめぐる最近の欧米での動きを中心に報告を行いました。2019年9月に人社系URAネットワーク*1 と共同で行った第7回JINSHA情報共有会の結果を中心に、ケンブリッジ大学などの研究機関が相次いで署名したことで再度注目を浴びている「研究評価に関するサンフランシスコ宣言(DORA)」*2に関する最新情報、ライデン声明*3や、英国の「責任ある研究評価・測定 」*4に関する議論など、欧州での研究評価最前線の状況について紹介しました。分科会委員からは、DORAやライデン声明が提唱する研究成果の多様性という概念が、論文以外の研究成果を評価する方向へと議論を導くことへの期待など、様々な意見が出されました。

現在の日本における研究評価の議論は、分野ごとに異なる多様な研究慣行を背景に、ともすると「ピアレビューか、指標の導入か」という二者択一で堂々巡りになりかねない状況とも言えます。それに対し、こうした宣言、声明の形でまとめられた原則は、ピアレビューのどこが問題なのか、特定の数値指標の何が問題なのか、どうすればより公平で研究の発展につながる評価が実現するのか、という議論を促すきっかけになるのではないかと思われます。
報告にあたっては、人文・社会科学系研究支援プログラムの佐々木URA のほか、神谷 俊郎URA、稲石 奈津子URAが協力しました。今後も、プログラムでは関係機関と共同し、研究の発展につながる評価を模索する努力を続けていきます。

*1 大阪大学経営企画オフィス研究支援部門、筑波大学URA研究戦略推進室/ICR、琉球大学研究推進機構研究企画室、京都大学学術研究支援室(KURA) 、早稲田大学研究戦略センター、北海道大学大学力強化推進本部URAステーション、横浜国立大学研究推進機構

*2 研究評価に関するサンフランシスコ宣言(DORA)(San Francisco Declaration on Research Assessment , DORA、2012年): 細胞生物学分野の学会、学会誌編集者、研究者が中心となり、ジャーナル・インパクト・ファクター(JIF)の限界を指摘。助成機関、学術機関、研究者など対象ごとに勧告をまとめているのが特徴。論文が掲載されている雑誌名ではなく、その論文の科学的内容こそを評価、また、多様な研究成果物の価値とインパクトを評価するよう勧告。

*3 ライデン声明(The Leiden Manifesto for Research Metrics、2015年): 計量データ・指標の責任ある利用のガイドラインとなる10の原則を科学計量学コミュニティが共同でNatureに発表。定量的評価は定性的評価の支援的に利用、英語以外の言語による優れた地域的研究の保護、分野による引用慣行の違いへの配慮など10の原則を提唱。

*4  責任ある研究評価・測定 (Responsible Metrics): 2015年、英国高等教育財政審議会(HEFCE)が、Research Excellence Framework (REF)での評価指標(Metrics)利用を議論する独立報告書The Metrics Tideを発行。REFのピアレビューとの比較から、指標の効用も認めつつ、それだけに依存することの危険性を指摘し、「責任ある研究評価・測定(Responsible Metrics)」という概念を提唱。報告書の冒頭では、自殺者まで生んだ悲劇的な事例を挙げ行き過ぎた指標による評価への警鐘が鳴らされている。

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