京都大学 学術研究展開センター Kyoto University Research Administration

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科学コミュニケーション講座(1):「国民との科学・技術対話」とは?

06.17 (Mon)2013

科研費を申請する際、申請書(研究計画調書)にある「本研究の研究成果を社会・国民に発信する方法等」の記載欄に何を記載すればよいか悩んだ方はおられませんか?この欄に「学会で発表する」「論文を投稿する」と記述したことはありませんか?確かに、学会発表や論文投稿は研究成果を社会に発信する活動ではあります。ただこれらは専門家(研究者)に向けた発信です。本当にこの記述で良いでしょうか?

申請書の公募要項にこのような項目がある理由として、2010年6月内閣府より公表された「『国民との科学・技術対話』の推進について(基本的取組方針)」が挙げられます。この基本的取組方針では、以下のようにあります。

  • (大学・研究機関は)研究者に対して積極的に『国民との科学・技術対話』を行うよう促す
  • (関係府省・配分機関は)研究者に対して『国民との科学・技術対話』に積極的に取り組むよう公募要項等に記載する

これを受けて科研費の申請書にも「国民との科学・技術対話」の活動についての記載欄が設けられました。では、この欄にどのような活動をすると記載するのが良いのでしょうか?すなわち「国民との科学・技術対話」とはいったいどんな活動でしょうか?基本的取組方針にはこうあります。

  • 「国民との科学・技術対話」は公的研究費を受けた研究者自らが研究目的、研究内容、研究成果を国民に対して分かりやすく説明する、いわゆる顔の見える活動が基本である
  • 研究活動の内容や成果を社会・国民に対して分かりやすく説明する,未来への希望を抱かせる心の通った双方向コミュニケーション活動を「国民との科学・技術対話」と位置づける

「顔が見える活動…」「双方向コミュニケーション活動…」とあります。具体的にはどのような活動でしょうか。一番のポイントは「双方向」です。研究者が国民(社会)に研究やその成果を「分かりやすく説明する」だけでなく、研究者も国民の声を聞くことが求められています。

では次に、このような活動は具体的にどのように企画すれば良いのでしょうか?企画の内容もさることながら、日々の研究活動の中でこのような活動に時間を割くのはしんどい…と感じる方もいると思います。そこで、こういった課題に対応するために、京都大学では「国民との科学・技術対話」ワーキンググループ/若手ワーキンググループ(以下:WG/若手WG)が作られました。
WG/若手WGは京都大学の教員・事務職員・URAからなり、京都大学として「国民との科学・技術対話」活動をどのように進めて行くべきかを検討しています。今までに、京都大学の教員に向けて「国民との科学・技術対話」に関するアンケート調査を行い、必要とする支援のニーズを調べました。そして、これらの結果を踏まえて実施されているのが「京都大学アカデミックデイ」です。「京都大学アカデミックデイ」は研究者による「国民との科学・技術対話」活動の場として企画されています。その企画内容も「双方向コミュニケーション活動」を意識したものとしています。

次回はこの「双方向コミュニケーション活動」の目的や方法について紹介します。(白井哲哉)

※「『国民との科学・技術対話』の推進について」は内閣府のHPからご覧になれます。詳しくはこちら

 

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