かつて喫茶店等で盛んに行われていた学生同士の議論を復活させ、「百万遍談議」として継続的に実施していきます。

授業ではありませんので、なにかこうしなければいけないという義務はなく、単に興味があるから参加して、人の話をきき、自分の考えを述べる。それだけです。
毎回のテーマに関して、あらかじめ知識が必要となるわけではありません。
唯一お願いするのは、毎回提示される「書物」あるいは「短文」を読んでくること。
「人はこんなことを考えているんだ」ということを知るだけでも楽しいですし、さらには、自分の考えを人にきいてもらうことの楽しさも、大学生に与えられたある種の特権です。
気軽な気持ちで参加してください。
いろいろな人と人、人と言葉あるいは考えの出会いが生まれることを楽しみにしています。

今回は「痛みの共有」というテーマについて、ともに考えてみたいと思います。
テキストは、下記の申込フォームに記載のリンクからダウンロードして読んでください。

テーマ・話題提供者

「痛みの共有」　宇佐美 文理 文学研究科 教授

日時

2024年3月22日（金） 15：00～17：00

場所

清風荘

対象

京都大学学部学生（正規生）先着10名

使用言語

日本語

費用

無料

お申し込み

こちらからお申し込みください。 （定員に達したため、受付は終了しました）

開催報告

• 参加者 ： 8名
  [内訳]
  2回生3名（文学・経済・農学）
  3回生4名（法学・教育各2名）
  4回生1名（総合人間学）
  
  
• 談議メモ
  

  今回は今年度最終回ということもあり、特別に本学所有の重要文化財である清風荘にて実施しました。

  架空の国家「Q国」にて、医学生が患者の病気による痛みを理解するために開発されたある装置が刑罰にも応用されようとしている状況――「目には目を」というハンムラビ法典の直接的応用――が綴られた使用テキストをもとに、談議は冒頭から「同じ痛み」とは何を意味するのか、という問いに集中しました。

  「痛み」と一言でいえども、「そもそも心と身体の痛みは異なる」「個々人や文化的背景によっても痛みの感じ方／ラベリングの仕方が異なるため、数値化や再現は容易ではない」といった意見が優勢であり、他方で刑罰の観点から、遺族の痛みの追体験を可能にし得る法律の可否をめぐり問題提起がなされる場面もありました。

  中盤には、対話が深まるにつれて、環境問題や飢餓に苦しむ人々の痛みを踏まえ、「そうした社会課題解決のための活動に反対する人がいれば、くだんの装置で刑罰を与えることは可能か」といった問いも飛び出し、それに対しては「あまりに暴力的であり、行為者の意思選択の権利も重要だ」「当事者意識が発達しすぎると息苦しさの原因になるのでは」といった意見が投げかけられました。

  終盤、痛みの当事者という観点からは死刑にも話題が及び、「当事者（死刑囚）だけでなく死刑執行人もまた痛みを感じているのでは」という問いかけから、よりテーマを俯瞰するかたちで、痛みや死をめぐる自己と他者の線引きに関しスリリングな話が展開されていく場面も。会場の特別感も相俟って、終始、盛り上がりを見せた回となりました。

  （記録：水野）

お問い合わせ

京都大学学術研究展開センター　百万遍談議担当
内線：16-5177
E-Mail ： jinsha＊kura.kyoto-u.ac.jp（＊を@に変更してください）
※できるだけメールでお問い合わせください。